香りを纏う

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この1年間、外出をめっきりしなくなり、しかも3か月前にはパートナーとも別れ、

よけいに自分に気を使うことがなくなってしまいました。

洋服も、毎月3着のレンタル商品の使いまわし。

トレンドの物が送られてくるけど、1着は必ず気に入らないものが入っています。

そんな感じで、野暮ったい自分がどんどん内にこもり、

外での刺激も受けなくなり、果ては1日中パジャマで過ごしてしまうという

悲劇が繰り返されることになりました。

ただ、最近のわたしは、ブログをはじめたり、

新しい環境に身をおこうと考えたり、

なんとなく、停滞していた空気から一歩外に飛び出した感覚はありました。

最近、素敵なことが起こったんですよ。

香りのスペシャリストの友人がいるのですが、わたしに香水を選んでくれました。

彼女はフレグランススペシャリストで纏い方や香料、

香りの歴史や文化について勉強したそうです。

フランスに研修にも行き、1,000を超える香水を試香しているそうです。

わたしに最近起こったこと。

彼と別れたことや、障害者アートの道に進む夢ができたこと、

一旦看護師に戻ろうと思ったことなどは彼女も知っていることなのですが、

そんなわたしの勇気と決意や、わたしの好きな水仙や金木犀の香りなどから、

わたしにセレクトしてくれたのが、

ゲランの「夜間飛行」という香水でした。

星の王子様の作者で有名な作家兼パイロットだったサン・テグジュペリの小説

『夜間飛行』からインスパイアされ、誕生した香水。

こんな素敵なストーリーのある香水をわたしに選んでくれました。

それだけで、こころから幸せな気持ちに満ち溢れ、

両手を羽ばたかせ空へ飛び出していける。そんな気分になりました。

香水は、プレゼントしていただいたものしかもったことがなく、

自分で買いに行ったことはありません。

ましてやこんな高価な香水なんて初めて。

百貨店の化粧品売り場、ゲランのカウンターに行って、試してみました。

うっ!

結構強い香り。なんかどちらかというともっと年上の女性が好みそうな香りだ。

昔、母が付けていたシャネルNO5を思い出しました。

日本の若い女性が好むような、男性受けする甘い香水とはまったく違う。

芯があり、自立して立っていける。自分で道を切り開いていける。

彼女がわたしのことをそう思って選んでくれたのが伝わって来るようでした。

一瞬の後、ふわっと華やかさが加わり、背筋がすっと整うような、

意志がまっすぐに正しい方向へ伸びていったような、そんな感覚になりました。

これに決めよう。

ただ、友人が言うには、その場で買ってはいけないと。

香りは変化を楽しむものだから、

つけてみて30分後、数時間後の香りを試してみて

気に入ったら買って、と言われていました。

後ろ髪を引かれる思いでしたが、その場をあとにしました。

取り置きしてもらったので、数日以内に買いに行こうと思います。

よく知られた話ですが、香りは脳の大脳辺縁系に直接作用し感情や記憶を呼び起こします。

今回のこの香水は、わたしにとって初めての香り、初めての体験だけど

「自分を信じ、勇気をもって一歩踏み出して」と伝えてくれた友人のことを、

これから幾度もこの香水で思い出すでしょう。

そのたびに、わたしの決意は一新され、またそこから一歩踏み出すことができると思います。

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